聖霊降臨の主日

5月19日 聖霊降臨 ヨハネ15章26~27節、16章12~15節 身近なところに働く聖霊

 イエスは聖霊を送ることを約束して天に昇られました。今日はその聖霊の降臨をお祝いします。聖書朗読では、第一朗読が使徒言行録の五旬祭の出来事、第二朗読のガラテヤの教会の手紙では聖霊の導きと実りについて、そして福音がヨハネ書からイエスが聖霊を遣わす予告をされる場面です。それらの中でも聖霊降臨というと第一朗読の内容をまず思い出すことでしょう。
 「五旬祭」は五十日の祭りという意味です。ユダヤで大麦の初穂をささげる祭りから五十日後に小麦の刈り入れを祝う祭りだったということです。聖霊降臨を「ペンテコステ」と呼ぶのはギリシャ語の「五十日目」という意味からきています。ちょうと復活祭から数えて五十日目の日曜日に祝われるのでその意味もあるのでしょう。しかし今日は、福音の朗読箇所から聖霊の働きについて考えてみたいと思います。

 福音で印象的なのは聖霊を「弁護者」と呼んでいることです。弁護をする仕事をしている人というと弁護士ですね。弁護士は裁判のときにうまく弁明できない人の代わりに法律の知識を駆使してその人を守ります。裁判だけでなく、トラブルや問題があったときにも解決するよう働いてくださいます。聖霊も、わたしたちが困ったときに助けてくださる方です。とくに福音を伝えるとき、イエスについての証しが必要なときに支えてくださいます。けれども、「この件については弁護士から説明します」と丸投げするわけにはいきません。自分のことばや態度で伝える必要があります。そのようなときに、聖霊は真理を正しく伝えることができるようにわたしたちの内側から助けてくださるのです。
 聖霊の働きというと、どうしても使徒言行録の記述から、多国語を話す能力が与えられるとか、宣教を助けられるというイメージを考えてしまいがちです。しかし、日常生活においても聖霊は働きます。オヘール神父から聞いた話ですが、聖霊の働きを求める黙想会に参加したとき、すばらしいひらめきの体験や異言を語るといったことが起こることを期待されていたそうです。しかし残念ながら何も起きなかった。でもその後あるときに、それまでやめたくてもやめられなかったタバコを吸わなくなったことに気づいたそうです。「これが聖霊のたまものだったと思いました」とのことでした。日常生活では、さりげないところにも働いてくださるのではないでしょうか。

 先週は最後に人間関係の問題について書きました。そのような人間関係の悩みを解決できるよう願っている人も多いことでしょう。そのようなとき、聖霊の助けを願いましょう。第二朗読に記されているように、聖霊は一致の恵みを与えてくださる方だからです。すぐに仲直りというわけにはいかないでしょうが、よりよい関係に導いてくださることを信じましょう。そのような身近なこと、取るに足りないと思えるようなところに働かれる聖霊の実りの積み重ねが、わたしたちを神の国へと導いてくださるのです。

(柳本神父)

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